2010年7月25日(日)
参加者総数190名が各地から集結し、大阪府門真市にある総合多目的アリーナである、なみはやドームにおいて、第36回拳正会全国空手道選手権大会が開催されました。
天気は晴れ、最高気温36℃、日差しも強く暑い一日となりました。
今年は会場内には冷房が完備され、選手スタッフ全員が快適な空間の中、ひとつの目的へと挑んで行きました。
開会式では、大会宣言、会長挨拶、ご来賓の方々のお祝辞等を頂き、昨年の各部門優勝者より優勝旗が返還され、次に代表選手による堂々とした選手宣誓、選手全員で基本動作を行い、滞りなく開会式が終了しました。
ABCDの4つコートに分かれ、まずは午前の部の試合開始です。
小学生高学年による組手試合、小学生中学年による型試合、一般の型試合、中学生の型試合が執り行われました。
午後からは、小学生中学年による組手試合・小学生高学年による型試合、小学生低学年による型試合、中学生による組手試合、一般の組手試合、中学生女子による組手試合・小学生女子(高)による組手試合、一般女子による組手試合・小学生女子(中)による組手試合を執り行いました。
だんだんと年齢を重ねていく試合になるに従ってその迫力も増して行きます。
最後の決勝戦は、1つのコートを全員が見守る張り詰めた空気の中、会長が主審を務め、勝ち残った選手が最後の力を出し切って戦いました。
型試合・組手試合共に大変見ごたえのある素晴らしいものでした。
今年のエキシビジョンは、分厚い氷割や瓦割に会場からも歓声と拍手がわき上がりました。
試割
▲ 寸勁(瓦):平川秀樹師範、手刀(氷):北郷善昌師範
試割とは、その文字通り、試しに割ると言う意味で、自らの日頃の鍛錬の成果を知るための効果的な稽古となっています。
割るものには、木板、コンクリートレンガ、バット、瓦、氷などがあります。
また、古来より男を計る物差しとして瓦割リがあるとも言われています。
幾段にも積み重ねられた瓦や氷に、気を集中させ、一気に拳をおろす。
貫かれた瓦や氷は一瞬にして、割れました。
※寸勁とは、至近距離から相手に勁を作用させる技術のことで、身体動作を小さくし、わずかな動作で高い威力を出す技法全般を指します。
※手刀とは、打撃法の一種で、開掌の手の形すなわち手刀で打つ技のことです。
型(古武道)
▲ 鉄甲之型:吉田佳世師範
農耕用の蹄鉄、すなわち馬や牛などの動物の蹄に装着される鉄のことを指し、鉄の輪を手にはめて攻防を行うものです。
▲ トンファー之型:藤井洋信師範
沖縄の古武道において使用される武器の1つでおよそ45センチの棒の片方の端近くに、握るため垂直に短い棒が付けられているものを指します。
▲ 釵之型:善家和紀師範
琉球古武術で使用される武器の1つで、琉球王国時代には警察関係者が身に付け、逮捕時などに使われていたとされています。
古武道(かかり)
▲ 4尺丈(川村忠義師範)と刀(五味聖二師範)
▲ 6尺棒、ヌンチャク(平川秀樹師範)と月山刀(西久保博幸師範)
今回初めて空手の大会を観戦したと言う会場にお越しの四名の方に本日の感想をいただきました。
まず、始まりの開会式からですが、小さい子までもが、きっちりと話を聞いていた事です。
試合会場の出口でも、1人1人がお辞儀をするなど、礼儀正しさが見えました。
戦いのイメージしかなかった競技ですが、メンタル面もしっかりしていて、見学していて楽しかったです。
競技については、組手と呼ばれるものしか想像していませんでしたが、型と言われている競技を初めて目にしました。
最初は、判定の基準がわからず見ていましたが、丁寧に説明して頂き、その後は更に面白く見学することができました。
やはり、初めて目にする私でも、上手いと思う人は、吸い込まれる様に見入ってしまいます。
ルールがわからないなりにも、見ていて気持ちが良いのが伝わるのでしょうか。
(大阪市 Aさん)
迫力が出る分、自分自身も力が入ります。
小学生から成長するにつれ、迫力の度合いが全然違いました。
音や発声の大きさが違う他、頭脳戦をしている様子がよく見えたと思います。
また、負けて悔し泣きしている子を見ると、頑張ってきてた姿が浮かび、次回は是非勝ってほしいと心から思いました。
お近くで観戦されていた主婦の方ともお話しでき、その方はお子様と一緒に空手の道場で練習をされているとの事でした。
運動が苦手な私も参加してみたいという気持ちになりました。
(高槻市 Bさん)
大学時代に学祭で演舞を見たことはあるけれど、実際中身がどうなっているのか、などとはあまり深く考えてみませんでした。
最初、「武道」と言うイメージがあるのでとっつきにくいかな?と思ったのですが、意外や意外、とてもフレンドリー。
それに細かい心遣いが随所に感じられ、小さい子でもとても礼儀もいい。
上下関係を学べる場なので先生がとても良い方ばかりなのは、子供さん達をみたらとてもよくわかります。
大会には本部の大阪以外の静岡や沖縄からもたくさんの人たちが来られていました。
とても楽しめました。
(堺市 Cさん)
以前から「一体何をしているのだろう?」とは思っていましたが、やっと疑問が解けました。
「型」は仮想の相手に、「組み手」は実際に人対人で空手をするとのこと。
大会では「型」と「組み手」の2つを小学生、中学生、一般に分かれていました。
小学生低学年の子と高学年の子では「型」の動き一つでも違いがでてきて、これが一般の部、それも決勝まで来ると相手は実際には居ないはずのに、その顔つきはまるでそこに誰か居るよう。
とても厳しい目つきで相手を見据えていて、その動きがとってもキレイ!
じっくり見ていると、動きの早いところと、とてもゆっくり動くところに分かれていました。
空手の型は、静と動の組み合わせ。
その少しの間を「残心」と言うそうです。
このポイントを知って見るか、知らないで見るかでは、全然違います。
また「組み手」は、技だけでなく駆け引きも重要とのこと。
相手のテリトリー(危険と感じる距離)を見極めて、その領域を自分のものにしていくらしく、その「まあい」の心理戦が重要になっていくようです。
上位になっていくと技が決まった瞬間が、私のような初心者には早すぎて見えませんでした。
本当に「すごい!」の一言でした。
(高石市 Dさん)
当日の写真ギャラリー
総評
今大会、2個の大きなチェックポイントが挙げられます。
ひとつは、転倒時の衝撃を緩和する目的で「空手マット」を採用しました。
多少の戸惑いはあったように見えたが、試合が始まると選手は、空手マットなどお構い無しに試合をしていたのが印象的でした。
もうひとつは、会場の「なみはやドーム サブアリーナ」そのもの。
エアコンを入れることによって快適な空間を作ることが出来ました。
これは非常に役員・スタッフ・選手にも非常に好評で、今年も大会の目的を大会スタッフ、参加者全員が達成し、大きな怪我も無く終われたので良かったと思います。